『 タスクぺディア 』誕生ストーリー

タスク管理をはじめた背景

発案者である私、小鳥遊は、生来の不器用さ、要領の悪さを持ち合わせています。発達障害のADHD(注意欠如・多動症)の不注意優勢型の特性を持っています。

簡単な事務のアルバイトをやっているときに、あまりにも仕事が上手くいかず、自分は何かおかしいのではないかと調べ、「発達障害」というワードに出会います。そして、公的機関や精神科で調べてみた結果、発達障害の診断を受けました。

安心して働ける環境を求めて、精神科のソーシャルワーカーさんと相談の上、障害者雇用で就職。せっかく雇ってもらったのだからと会社の仕事を頑張ってみたものの、その頑張りが逆効果となり、抱え切れないほど仕事を引き受けては取りこぼすのを繰り返していました。

そして、ある日、耐えきれずぷっつりと自分を支えていた糸が切れ、休職。次の会社でも同じことを繰り返してしまいました。

そんな自分を受け入れ

  • 自分は必ず忘れる
  • 段取りは落ち着いて時間をとらないとできない
  • 複数の仕事を一気にこなすことは不可能
という弱みを以下のようにカバーする仕事の管理(タスク管理)を実践しはじめました。

  • 忘れてもいいように、やるべきことを全部書き出す
  • 実行する前に、細かい行動に分けた段取りを書き出す時間をとる
  • 複数の仕事を一気にではなく、細かい行動を1つ1つ終わらせる
最初はエクセルの簡単なリストでしたが、自分の弱みに合わせた仕組みを追加していき、『 タスクぺディア 』の原型のエクセルツールを完成させました。

タスクぺディア

タスク管理によって解決したこと

タスク管理を実践しはじめたことで、仕事の抜け漏れ忘れはほぼ無くなり、段取り力も付き、タスク管理ツールで自分の全仕事をいつでも俯瞰できるという状況になりました。

すると、頭の中でぐるぐる回っていたやりかけの仕事に対する不安が嘘のようになくなり、学生時代のテストが終わった時のような解放感を、毎日味わうことができるようになりました。この変化は、自分特有の何か才能が開花したといったことではなく、ツールを使ってタスク管理を始めただけで起こったことでした。

同じような経験をしている人はいないかとネットで検索してみたところ、私のタスク管理の方法と極めて似たやり方を考案して世界に広めている人を見つけました。

“Getting Things Done(GTD)”というタスク管理方法論を考案したデビッド・アレンという人です。

GTDは、仕事がうまく進められない悩みを持つ人に有効だと確信するに至りました。GTDが世界に広まっていることを知るにつれて、この知識・経験を独り占めすることなく、自分のような不器用で要領のあまり良くない、とりわけADHDの不注意特性を持っている人に向けて「GTDの手法を紹介したい!」と思うようになりました。

イベントの開催・就労支援事業所での講座・『 タスクぺディア 』の開発

私と同じような悩みを持っている人にこの経験を伝えて役立てたいと思い、2016年9月に、「自分は要領が良くない、と思い込んでいる人のための仕事術」というイベントを開催しました。このイベントは、ツイッターで「ひらめきメモ」(@shh7)というアカウントで情報発信をしているF太さん(@fta7)共に行っており、名古屋、京都、福岡での開催も含めて現在も継続して開催しております。

また、同じような目的で、社会福祉法人SHIPの運営するEXP立川という障害者就労移行支援事業所での講座も2017年4月から行うようになりました。EXP立川のスタッフである臨床心理士の兵働さんと偶然知り合い、事業内容を聞き「自分の経験を話して利用者さんの役に立ちたい」と話したところ、「しくじり先輩」という講座ができるようになりました。現在は、週に1回、自分の経験談やタスク管理についての講座を行っております。

そういったイベントや講座でGTDを説明していると、どうしてもツールの話をすることが必要になります。実際、自分の弱みをどのようにカバーしているのかを説明するため、私が作成したツールを見せたりしていました。ただ、エクセルだと、オフィスでパソコンがずっと目の前にあり、エクセル操作に理解がある人でないと使えないというハードルがありました。

誰でも手軽に、どこでも使えるようにできたら・・・。

と考えていたときに、タスク管理関係のイベントで、私のexcelのツールを見たプログラマーの嵯峨さん(@sagattosaga)から、クラウド化の申し出を受けました。それから数か月かけて打ち合わせを重ねて、『 タスクぺディア 』のパイロット版ができあがりました。

『 タスクぺディア 』の公開

こうしてできた『 タスクぺディア 』は、原作のexcel版をはるかに上回るクオリティでした。「これは、たくさんの人に使ってもらいたい」と思い、社会福祉法人SHIPの方々に相談しました。

通常のタスク管理ツールであれば、月額使用料を支払って使います。しかし、『 タスクぺディア 』を使って欲しい方々に使ってもらうには、月額使用料というハードルをできるだけなくす、つまり無料公開が一番目的に沿うものだと考えました。

社会福祉法人の主たる目的は社会貢献であり、収益化が前提ではありません。ということで、社会福祉法人SHIPから『 タスクぺディア 』を無料で公開することになりました。

『 タスクぺディア 』の持つ機能は、すべて完全に無料でお使いいただけます。

私たちの思いを受け取っていただき存分にお使いください。

『 タスクぺディア 』を使うことで、あなた自身の抱える仕事の悩み等が解消するとすれば、これ以上の喜びはありません。